whole8 オフィシャルブログ        カネコは食わねど高楊枝

彫刻家 寺社仏閣、史跡等に作品を納めています。 whole8.6th@gmail.com

よかった。そしてとうとう解禁!!

今日は虎ノ門栄閑院に杉田玄白先生像を持って行きました。

いつ来ても穏やかな空気が流れています。
まずは玄白先生の墓前に手を合わせ・・・
『いざ!』
まさか教科書に出てくる人物の再建をさせてもらうなんて、私としてはとても幸せです。
まずは昼食をごちそうになりました。

鰻釜飯!!「うまし!」いつもありがとうございます。

さて、今日は私にとっては勝負の日!!
もちろん和服です。そして作品があるので車です。
和服で運転は変わりませんが、ちょっと窮屈でまぶしいのでサングラス(笑)

はっきり言って「変!」

和服はもちろん羽織袴で羽織は黒羽二重の紋付です。
黒紋付作ってから三越、栄閑院と出番があります。(やった)
それに、個人的に黒の紋付き大好きです。
着物は紺地の正絹です。袷なのでちょっと暑いです(笑)
襦袢の襟はスカイブルーで着た時にちょっとアクセントを。
赤でもいいかな?なんて思います。
そして、こういう時にはいつもの伊庭さんからいただいたとても大事な守り刀の備前長船祐定を腰に。
刀の由来はここでは書きません。聞きたい人は私に会った時直接聞いて下さい。
(この守り刀は刃は出してませんし、短いです。刃を出していたら銃刀法違反です!カタチは刀のそれですが、ただの鉄の棒です)

で!!

住職さんや家族の人々にみてもらいました。
結果は・・・

『OK!』です!!

やった!!

本当に嬉しいです。
努力が報われた時です。
後ろ姿もなかなか良いと個人的に思いましたが、住職さんも同意見で本当にうれしかったです。

栄閑院は優しい空気が流れています。ついつい長居してしまうのです。
増上寺で知り合い今回の仕事を依頼してくれた息子さんとも色々関係ない話で盛り上がりました(笑)
しかし!!頭身はもちろんちゃんと計ってあります。
ですが、写真撮るとなぜか頭が大きく写る(笑)
たぶん耳が大きい(元の物も)為と思われます。
作るにあたってディフォルメや私の感性が入りますが、もちろん戦災で燃えてしまった物が絶対の基本です。
これに近づけ雰囲気を持たせ、新しく作ります。
賢そうな顔で玄白先生特有の痩せた感を。
肖像画の晩年期ではなく40〜50代位の姿です。
関係者の方以外多分知らない姿です。

では、制作初期も初期の玄白先生頭部も。ほんと塊からアタリを付けただけです。

ちなみに消失した玄白先生像の大きさは三十六センチちょっと。大きさも同じで作ります。

まだまだ初期段階!ここから大きさが3周り小さくなります。

身体の初段階です。
これじゃどんなポーズかは解らないよね。
と、また小出しにしていきます。

この作品でかなりのレベルアップできたのでは?いや、かなりアップしたとおもいます。
今回もプロのメイクアップアーティストに写真をみて骨格を監修して、厳しく見てもらいました。
駄目な所は解ってるから言われると素直になれないのよね(笑)
本当にすみません。そしてこの場を借りてありがとうございます。
しかし、メイクのトップの人ってすごいよね。
人の顔、骨格や筋肉知識は私なんか足元にも及ばないです。
私感性でやってますし「不器用ですから」

しかし休みなく毎日毎日彫って盛っての繰り返し。
今年は本当にずっと作ってました。
毎日小さい(本当に小さいですが自分で柱から立てて作った)工房でほぼ20時間労働です。
クタクタですな。
あまりの終わりの見えなさに投げ出しそうになったり、気付いてるけど、削るの嫌で見てみない振りはしょっちゅうでした。
三越の間も帰って朝まで削ってまた三越と、今思えば涙でそう(笑)
でも、作ってるとあっという間です。

そして並行して利休像と織部像、三越ライオンと入間の展示の為の手直しと注文の品々・・・かなり厳しい進行でした。
まだ、制作中のも数点あります。

今回は玄白先生の顔はかなり骨格を理解出来ました。大きいので理解しやすいのですが、いつもの2〜3まわり違うとこんなに作るのがむずかしいとは・・・
そして粗造ではないので本当に大変。
資料も戦前の黒い古い写真とピンボケの写真とかなり苦労しました。
で、今日栄閑院で玄白先生のブロンズがあると写真を見せてもらいました。
・・・・・
微妙です。

これ、とある医大にある絵をモチーフです。
私も資料としてもちろんこの絵のデータは持ってますが、参考にはしませんでした。
作った像はこれとはポーズはもちろん色々と違います。
念のため
そして私の方が魂こもってますから!!
でも、これも頭でかいな・・・
なんでだ!?玄白先生!

制作する上で私はちゃんと作らないと嫌なもので粗造等でよくあるなんとなくという作り方は個人的にごまかしてる感や逃げてると思ってしまいます。(個人の意見です)
分からないことをごまかして作るのって嫌です。
もちろん限界はありますが、出来る限り資料をあつめます。
図書館はもちろん民族博物館はざらです。
お寺にも聞きに行く事もありました。

もちろんハチ公像みたいなのはあれがベストでしょう。
モフモフ感いいですね。

帰りは菩提寺の木場にあるえんま堂に行って先祖や祖父母に報告と和服姿を見せに行きました。
私ががんばれるのはまちがいなくばあちゃんのお陰です。
祖母の努力する姿はチカラをくれます。私は見習わなくてはならないのです。
祖母を思い出すと「忙しいから」なんていう言い訳は本当に出来ないし、嫌いなんです。
だから自分のギリギリまで作ります。
下手なんだから人の倍以上は手動かさないといけません。

今日は帰ってからビールを買いに行き家で飲みました。
本当においしかったです。